医療
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臨床実践的めまい論
―診断・治療の基本として―
高安 劭次
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1983 年 37 巻 2 号 p. 139-142

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抄録
原因も発症機転も共に複雑多彩な「めまい」を合理的に診断・治療するには, めまいの概念を系統的にまとめ, 分類し, 整理しておくことが必要である.
めまいの定義自体も原因や発症機転と同じ程に複雑多彩であるが, 臨床実践的観点からは「平衡失調の感覚である」とする著者の定義が便利である. この定義は, 姿勢や運動の平衡がどの機能系統によつて維持されているかさえ知つていれば, めまいはその系統のどれかの障害を意味するので, それを解決すれば足りるからである.
平衡に直接関係する機能系は, 視覚・眼運動系, 前庭系, 頸筋及び抗重力筋自己受容系, 脊髄神経系, 脳幹・小脳系に大別でき, これらに強い影響を及ぼす系統に循環系と植物性調整系がある. そして, 平衡が維持されているにもかかわらず, 失調していると感じる精神活動系の障害も見逃せない.
これらの平衡関連系の障害で示される臨床検査上には特徴があり, それに基づいて分類すると, 視覚, 前庭, 頸部, 中枢神経系, 自律神経系及び精神情緒系の6つに要約できる.
従つてめまい患者と対面した場合, まずこの6系統だけを念頭におけばよいことになる.
この特集もその意図に沿つている.
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© 一般社団法人国立医療学会
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