医療
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肝疾患時の胆汁酸とビリルビン濃度
近藤 忠亮井手 武朗江草 国之
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1983 年 37 巻 6 号 p. 558-562

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抄録

肝疾患における血清総胆汁酸, cholylglycine, 血清総, 直接ビリルビン, 一般肝機能検査成績をその変動より検討した. 無症候性HBVキヤリアーでは血清総胆汁酸, cholylglycine濃度はいずれも正常範囲にあつた. 血清総胆汁酸とcholylglycine濃度とは慢性肝炎ではよい相関にあつたが, 肝硬変症では一定の関係はなかつた. 血清総胆汁酸, cholylglycine濃度とも慢性肝炎より肝硬変症で高値を示した. 肝硬変症と肝硬変症+肝癌との間にcholylglycineでは有意の差がみられた. ビリルビンと胆汁酸との間には直接ビリルビンが低下傾向の場合により相関がみられた. また慢性肝炎で直接ビリルビンと胆汁酸濃度は相関した. 胆汁酸, ビリルビンの変動とGOT, GPT, ChEとの変動との間には一定の関係はなかつたが, A1-Paseが上昇する際に胆汁酸の変動が総ビリルビンの変動を上回ること, その逆も同様であることが認められた.

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