医療
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狭心症の診断とその対策
―冠動脈造影を中心として―
中野 実継 健赤星 隆一郎野矢 久美子勝本 慶一郎竹内 慶治山本 邦彦
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1983 年 37 巻 9 号 p. 867-871

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抄録

1979年以来当院を訪れた狭心症例に, 主としてジヤドキンス法により冠動脈造影を行い, さらに左室造影を行つて左室駆出率を計算した. またスワンガンツカテーテルを用い,熱希釈法により心拍出量なども測定し, 血清脂質, タバコなどの危険因子との関連性を検討し, 必要に応じA-Cバイパス手術を行い, その結果について検討した. 狭心症例は66例で次のごとく分類した.
I非梗塞性狭心症
a)労作性狭心症b)非労作性狭心症
II梗塞合併狭心症
冠動脈造影で75%以上の狭窄が見られたものを有意の病変として上記の分類との関係をみるとa), b), IIの順で病変は高度化した. 各危険因子との関係をみると, 血清総コレステロール値, 中性脂肪値とは病変とはあまり関係がなく, HDLコレステロール値の低い例, 及び喫煙との関係が深いようである. また梗塞を合併すると明らかに左室の駆出率は低下する. これらの対策としては狭心痛を訴える時期に冠動脈造影を行い, 手術の適応があれば手術により梗塞への発展を阻止すべきで, これにより狭心発作もおさまり, 梗塞発生による心機能の低下も防ぎ得る. さらに重要なことは, 血清脂質異常, その他の危険因子を改善し虚血性心疾患の予防に努力すべきである.

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