医療
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非上皮性悪性胃腫瘍の検討
今本 治彦笹井 平山本 秀樹中口 和則河原 勉
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1984 年 38 巻 1 号 p. 50-55

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抄録
当施設において過去10年間に経験された胃肉腫17例のうち, 悪性リンパ腫9例, 平滑筋肉腫5例について, 術前診断・治療及び予後について検討した.
これら胃肉腫は, 同期間の全悪性胃腫瘍手術例の1.3%であつた.
胃肉腫の術前診断は, 困難といわれており, これらの症例も, X線検査にてほとんど癌と診断されていた. しかし, 内視鏡検査及び生検にて, 悪性リンパ腫で3例が, 平滑筋肉腫で4例が正診されており, これらの検査にて有力な所見が得られた.
所属リンパ節転移は, 悪性リンパ腫で66.7%に認められ, 平滑筋肉腫では全例認められなかつた. すべての症例に, リンパ節郭清を伴う胃切除術が施行されている. 悪性リンパ腫の予後は, Stage III以上では, ほとんどが1年未満であつたが, 化学療法が奏効したと思われる長期生存例もあり, adjuvant therapyを積極的に施行すべきであると考えられた.
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© 一般社団法人国立医療学会
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