抄録
鎖骨下動脈に血管雑音を有する脳血管障害患者を対象に, 血管撮影所見と対比し, その血管雑音の意義および内頸動脈の血管雑音との相違を検討した.
血管雑音の聴取頻度と血管病変との関係では, 鎖骨下動脈においては, 50%以上の狭窄2例では, 常に聴取可能, 時々聴取可能それぞれ1例であつた. 50%以下の狭窄または壁不整6例では, 常に聴取可能1例であり, 他の5例は, 時々聴取されるにすぎなかつた. 内頸動脈においては, 50%以上の狭窄2例では, 常に聴取可能1例, ほとんど常に聴取可能1例であつた. 50%以下の狭窄または壁不整4例では, 時々聴取可能1例で, 他の3例では, 血管雑音は聴取されなかつた. すなわち, 鎖骨下動脈の血管雑音は, 軽度の血管病変においても聴取され, その強さの変動が大であつた. この血管雑音の相違は, 鎖骨動脈と内頸動脈の血管走行, 血流速, 循環動態の差異に起因すると考えられる