医療
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加令脳病変の疫学的研究
松山 春郎
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1984 年 38 巻 4 号 p. 336-341

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抄録

脳の老化に関し, 病理組織学的基盤にたつた疫学的研究について, 内外の文献を通覧して次のごとくまとめてみた. 1. アルツハイマー原線維変化, 老人斑, 顆粒空胞変性などの病変は, 年令と共に増強するが, 高令者ではむしろ低下する. 個々の例についていえば, 3者の病変の程度に相関関係は必ずしも見られない. 2. ア変化は側頭葉内側が好発部位で, ここに限局する限り, その数は脳の加令的変化の程度の, 一つの目安となり得ると考えられる. 3. 老人斑の頻度は, 本邦においては欧米諸国に比してはなはだ低い. しかし最近高まりつつあるかの観がある. このことは, 本邦では痴呆老人に脳血管障害によるものが多いのに反し, 欧米ではア病によるものが多いという統計的事実と, 本邦では最近ア病が増加してきているのではないかといわれていることと考え合せると, その意味するところは重大である. 4. 顆粒空胞変性については報告が少なく, 地理病理学的の結論は出せない.

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