1984 年 38 巻 4 号 p. 385-391
1952年~1981年の30年間における国立療養所近畿中央病院入院患者中の非定型抗酸菌による肺感染症について, その症例数, 起因菌種の推移について述べた. 196例(1.87%)の症例がみられたが, 1968年と1978年に増加の傾向があつた. 1977年まではM. avltum-intracellulare症が大部分を占め少数のM. scrofulaceum症がみられた. 1978年に至り M. kansasii症が出現し, またM. nonchromogenicumやM. szulgai その他のまれな菌種による感染症例もみられるようになり, 症例の増加と菌種の多様化が起こつている.
以上のような情勢について文献とあわせて若干の考察を行つた.