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慢性運動器疾患患者に対する精神・心身医学的アプローチ
蕪木 初枝柴崎 啓一大谷 清野町 昭三郎中山 宏
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1984 年 38 巻 9 号 p. 862-868

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抄録

過去7年間に慢性運動器疾患患者308例について, 精神・心身医学的アプローチを行つた. アプローチを行つた理由は, 疼痛その他の身体症状, 精神科的諸症状,患者の行動上の問題点などである.
308例の原疾患は, 脊柱脊椎の病変を中心とする頸痛・腰痛群, 外傷その他による脊髄麻痺群が最も多く, 196例63.6%で, その他の外傷後遺症・膠原病が各20例6.4%, 器質脳疾患19例6.2%などとなつている.
精神・心身医学的診療による疾病名は, 心身症81例26.3%, 神経症51例16.6%, 器質脳障害34例11.0%, 分裂病27例8.8%, うつ病26例8.4%その他である. アプローチによる問題点の改善率は. 関節痛・外傷・腰痛など一般診療科目では70%以上であるが, 脊髄麻痺・膠原病・器質脳疾患などの重度の慢性運動器疾患群では, 65.4~42.2%と低く, これらの症例のかかえている精神・心理的問題の深さが如実に示されている.

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