抄録
Duchenne型進行性筋ジストロフイー症(DMD)における6q12又は13の部位の出現頻度を明らかにするために, DMD患者49名について染色体の脆弱性試験をおこなつた. 方法: 葉酸欠乏培地とBrdU添加培地との2種類の培地を用いて末梢血0.2mlを96時間培養した. 結果と考察: 正常コントロール20名では染色体又は分体のギヤツプを広範囲に認めたが, 個々の出現頻度はすべて1%以下であつた. DMD患者では, 49名中30名(61.2%)に2%以上の出現頻度でhot spotが認められ, その中で最も出現頻度が多かつた部位は6q12又は13で, 49名中20名(40.8%)に認められた. 葉酸欠乏培地とBrdU添加培地において高頻度に認められたことから, その部位に何らかのDNA合成の傷害があると推察した, 現在DMDの遣伝子の座位はXp21又は22と考えられているが, 6q12又は13の部位もDMDの病因と何らかの関連があると考えられ, 今後更に検討を要すると考えられる.