医療
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バスケット鉗子にて摘出しえた胆道内回虫迷入症の1例
喜多 島聡進藤 仁中川 禎介橋本 洋久保 井宏山本 和夫佐々木 宏晃林 直諒
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1987 年 41 巻 1 号 p. 78-81

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抄録
我々は, バスケツト鉗子にて摘出しえた胆道内回虫迷入症の1例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する.
症例は33才, 女性. 21才時胆石症にて胆嚢摘出. 野菜の洗浄は食塩水にて行つていた. 昭和59年3月28日心窩部痛及び背部痛のため入院となつた. 入院時検査所見では, 好酸球増多と尿中アミラーゼの上昇を認めた. ERCPを施行したところ総胆管末端から右肝管に及ぶ虫体を確認した. 虫体は胆管内に完全に迷入していたが, バスケツト鉗子を用いて内視鏡的治療を試み, 体長16cmの雄の回虫を摘出することができた. 衛生水準の向上した現在, 胆道回虫症は激減したが, まれに本症を見ることがあり念頭に置かなければならない. また内視鏡的摘出は非常に有用であるので第一に試みるべき方法と考えられる.
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© 一般社団法人国立医療学会
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