抄録
われわれは, 1981年5月18日に50才の膵体尾部癌の患者に対して, 膵体尾部切除術を施行した.
この症例は, この手術のあと5年以上経過してなお生存中であり, 膵体尾部癌の術後5年以上生存した例としては本症例は本邦における第2例目である.
われわれは膵体尾部癌の予後のわるい理由について考えてみたが, とくに膵癌の生物学的悪性度の高いことに言及した.
膵体尾部癌の手術成績向上のためには, 改めていうまでもないが, 早期診断の重要であることを強調したい.
この機会に, 膨大部周辺部の癌に対するわれわれの手術成績についても言及した.