重症仮死で出生した新生児10例について, 経時的に頭部超音波検査を施行し, 神経学的後遺症と比較検討した.
頭部超音波検査では, 病初期の所見として全例に脳室の狭小化がみられ, 5例では脳実質のエコー輝度がびまん性あるいは限局性に増加して観察された. 10例中6例では経過とともに, 脳室拡大および大脳縦裂や脳溝の拡張で描出される脳萎縮の所見が顕著となり, 他の4例ではそれらの変化は軽度であつた.
神経学的後遺症との比較検討では, 脳萎縮の所見が顕著であつた6例すべてに運動発達遅延がみられ, うち病初期に脳実質のエコー輝度が増加していた5例では, 死亡した1例を含めて重度の四肢麻痺を残した. 脳萎縮の所見が軽度であつた4例の神経学的予後は良好だつた.
脳実質の高エコー輝度は単に脳浮腫によるものではなく, 循環障害によるうつ血や出血なども反映していると思われた.