医療
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我が国の甲状腺外科, 最近の話題
牧内 正夫
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1987 年 41 巻 9 号 p. 765-771

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抄録
バセドウ病や単純性甲状腺腫(地方病性)の外科治療を中心に展開してきた甲状腺の外科は, 科学の進歩に伴つて大きく転換し, 今日, 世界的にみて, 甲状腺機能を対象とする外科は斜陽の立場にあり, 腫瘍とくに癌の外科が主流となつている.
最近の我が国における甲状腺外科は, 毎年開催される甲状腺外科検討会を中心に発展を続けている. この会で討議された主題も, 世界の流れと同様に癌が主であるが, バセドウ病の外科も, 数は少ないが2回ある. これは欧米と異なり, 我が国の手術成績が他の治療法より優れていること, 治療期間が短いことなどの利点があるためである.
急性化膿性甲状腺炎はまれで, 感染ルートは長い間不明であつたが, 最近, 下咽頭梨状窩瘻の存在が話題になつており, 紹介した.
甲状腺癌は, 組織型によつて, 生物学的性格が著しく異なるために, 治療方針の決定にはきめの細かい配慮が必要である. 発育の緩徐な分化癌, 極めて悪性度の高い未分化癌, カルシトニン分泌, 家族発生など特異な臨床像を示す髄様癌など, 癌に関する話題は数多く, 豊富である. この中から, 未分化癌の未分化化(anaplastic transformation), 転移性甲状腺腫, および微小癌をとり上げて現状を紹介した.
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