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胎嚢像の超音波断層所見および子宮内胎嚢像類似所見に関する考察
島 功
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1988 年 42 巻 11 号 p. 1000-1006

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抄録
電子スキヤン方式超音波診断法の導入により胎(芽)児心拍動は妊娠早期より動態観察が可能になつた. したがつて, 妊娠初期において生児の期待しえない胎(芽)児や胎(芽)児心拍動の検出されない枯死卵および胎(芽)児死亡の鑑別が容易となり, 真の切迫流産の診断や予後判定は確診がもてるようになつた. すなわち, 正常胎嚢内に胎(芽)児心拍動が検出された場合には, たとえ流産徴候が出現しても流産する確率はきわめて低く, ほぼ生児が期待できるものと推測される.
以上, 妊娠初期流産徴候をきたした場合には, 超音波断層所見により真の切迫流産か否かの識別が重要であるが, その他にも非典型的な胞状奇胎や部分胞状奇胎および子宮外妊娠, 子宮内膜や付属器の炎症性疾患における胎嚢像類似所見に注意する必要がある. 以上の観点より, 正常妊卵, 枯死卵, 胞状奇胎および子宮内胎嚢像類似所見を呈する各種疾患の超音波断層所見について解説を試みた.
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