医療
Online ISSN : 1884-8729
Print ISSN : 0021-1699
ISSN-L : 0021-1699
脳卒中片麻痺とリハビリテーション
第7報 脳卒中片麻痺の知覚障害
宮地 直恒小川 松夫竹原 俊夫日戸 修平最上 鉦
著者情報
ジャーナル フリー

1988 年 42 巻 5 号 p. 392-397

詳細
抄録
脳卒中片麻痺患者のリハビリテーシヨンを行う場合, 運動障害のみ論じられることが多い. 知覚障害も症例によつては重要である. 今回発症後1年以上経過した患者を対象に臨床的によく用いられる診察器具を用いて, 温覚(50℃), 冷覚(0℃), 痛覚, 振動覚, 2点識別, 指趾識別, 位置覚などの検査を行つた. 温覚は76%に障害があり, 振動覚や痛覚は比較的保存されていた. 歩行障害と比較してみると車椅子を必要とする患者に失調が多く, 両側指趾認知や位置覚の障害がしばしばみられ, 表在知覚(温・冷覚)障害では, 訓練により歩行まで可能な者が多くみられ, 被殻や内包部の障害者が多かつた. このことから表在知覚障害は歩行に対する障害どなることは比較的少なく, むしろ深部知覚や高次脳障害に対して多くの問題を残していた. 今後, これらの実態を把握しながら脳卒中のリハビリテーシヨンを行う必要があると考えられた.
著者関連情報
© 一般社団法人国立医療学会
前の記事 次の記事
feedback
Top