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インスリン非依存型糖尿病における尿中微量アルブミン測定の臨床的意義
大石 まり子飯田 孝陽小出 操子東 淑江赤澤 好温
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1988 年 42 巻 8 号 p. 679-683

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抄録
糖尿病性腎症は患者の生命予後を左右するため早期診断による予防が必要であり, 尿中微量アルブミン(Alb)がその指標として注目されている. 今回ズルポサリチル酸法にて尿蛋白陰性である入院中のNIDDM患者100例の尿中Alb1日排泄量をRIA法にて測定し, その臨床的意義を検討した. NIDDMの平均尿中Albは, 15.9±18.3mg/日と対照に比し有意に増加しており, 正常上限を越す者は39%であつた. 尿中Albと患者の年令, 性, 空腹, 時血糖値, HbAIC治療法とは関係がなかつた. 尿中Albは,発病6~7年目より増加し, 罹病期間が長くなるにつれ増加する傾向がみられた. 糖尿病性網膜症の合併は, 罹病期間と関係したが尿中Albとは関係しなかつた.
尿中Alb測定は, 糖尿病性腎症の早期診断の指標として有用であると考えられた. 今後腎症の進行度との関係について, さらに検討が必要と思われた.
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