抄録
進行性筋ジストロフィー症は終局的に呼吸筋萎縮による拘束性低換気の呼吸不全に陥る. 必然的に人工呼吸のターミナルケアが到来することになる. 筋ジストロフィーの病態に適した体外式人工呼吸(CR)装置を開発し実用化した. CRは陰圧用ベンチレーターと気密性の体幹コルセツトからなる. 1980年以来, 実験的および臨床的にCRについて研究し患者の延命に役立てた. 自験例は20例(Duchenne型16例, LG型4例)に達し現在7例がCR継続中である. 使用期間は最長4年を過ぎた. CRからの死亡例, 気管切開への移行, 合併症などについても検討した. CRの適応はPaCO2, PaO2値の逆転する時期(60 Torr)に導入する. 長期となるため医学的管理のほか生活面の充実につとめることが肝要である. これら適応および管理に関しての方針も示した. 筋ジストロフィー末期呼吸不全の治療には非侵襲的なCRを気管切開より優先することが有利である.