抄録
宮崎県の都城北諸地区では, 昭和59年より麻疹の大流行がみられており, 乳幼児では重篤なA-a blockを伴つた麻疹肺炎が多発し, 肺炎による呼吸不全死が3名みられている. この麻疹肺炎の原因として, 以下の因子が考えられた.
1) 環境因子:当地が山間部盆地で寒暖の差が大きく呼吸器疾患患児が多い. また冷暖房の完備でウイルスの季節性がなくなつた.
2) 解熱剤:体熱を下げウイルスの増殖を高め免疫力を低下させる. また抗利尿作用により間質性肺炎を増悪させる.
3) 乳幼児:免疫機能が不十分で, 摂取水分量の多い時期であるため, 間質性肺炎に不利に働く.
4) ウイルス:組織破壊性が強くウイルス自体の変化も考えられる.