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妊娠中毒症における塩酸ラベタロールの降圧効果
田中 智子市丸 恭子高橋 敬一寺師 恵子佐藤 孝石原 理箕浦 茂樹我妻 堯
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1989 年 43 巻 2 号 p. 192-196

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抄録
高血圧を主体とする妊娠中毒症の治療に, 近年注目されている塩酸ラベタロールを投与し, その降圧効果や副作用について検討した.
昭和60年から62年の間に当院で分娩した重症妊娠中毒症症例24例中9例に対し, 塩酸ラベタロールを150mg/dayないし200mg/dayで開始し, 血圧のコントロールがつくまで3~4日ごとに増量した. 降圧効果や児の予後に関し, gestosis indexやApgar scoreで検討し, 従来の薬剤に劣らぬ治療成績を得た. 最大投与量は1000mg/dayであつたが, 特に副作用は認められなかつた.
塩酸ラベタロールは, α1及びβ遮断作用をもち, 心拍出量に影響することなく末梢血管抵抗を減少させる特徴をもつため, 母体血圧を緩徐にコントロールすると同時に, 妊娠中毒症の発症の一因と考えられている子宮胎盤循環不全の改善も期待できる.
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© 一般社団法人国立医療学会
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