抄録
鹿児島県在住の58才, 男性. 血痰, 咳を主訴として来院. 胸部X線写真にてcoin lesionを認め肺腫瘍を疑い, 手術(右中下葉切除術)を施行した. 右肺下葉S10bに大きさ3.0×2.5×2.5cmの腫瘍あり. 病理組織学的には炎症性肉芽腫にて, 腫瘍内の肺動脈内に栓塞した犬糸状虫(雌の幼若虫)を確認した, 免疫学的検査では免疫電気泳動法にて犬糸状虫抗原に対して弱いながらも沈降帯が認められた.
著者らが集計した肺犬糸状虫症の本邦報告例は44例にて, 若干の文献的考察を加えて報告した.