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直腸癌前方切除術の局所再発
土屋 裕一吉川 宣輝松井 成生河原 勉
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1991 年 45 巻 1 号 p. 36-41

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抄録

最近私どもの施設では直腸癌の半数以上に肛門温存術式を用いている. その代表である前方切除術は肛門挙筋以下の組織を残すため, 癌の根治性の低下が懸念されるが, 5年生存率からみると直腸切断術に劣らない. これは各症例に対し術式を選択した上での結果である. 1975年から1988年の間に当院で手術を行った大腸癌1037例のうち, 直腸癌治癒切除症例は455例であった. このうち前方切除術は222例で10例に局所再発を認めた. 前方切除術後の局所再発の形式は吻合部再発と骨盤壁再発に大別される. 局所再発10例のうち6例が前者, 4例が後者に該当するとおもわれた. 7例に再切除を施行した. 再切除した症例は再切除しなかった症例より予後良好であった. 前方切除を選択した場合には充分な病巣切除, AW, EWの確保, surgical implantationの予防に努め, それでも局所再発を認めた場合には再切除は有用な治療の一つであるとおもわれた.

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