医療
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腸閉塞をきたした小腸脂肪腫の1例
中嶋 雅彦伊勢田 尚彦石井 敬基堀越 衛北村 一雄喜多島 豊三八ツ橋 輝海山田 和昭
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1991 年 45 巻 2 号 p. 170-173

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抄録
消化管脂肪腫は非常にまれな疾患で, 中でも小腸脂肪腫の報告例は少ない. 今回我々は空腸に発生した脂肪腫の1例を経験したので文献的考察を併せて報告する.
患者は20歳の男性で7歳時に虫垂切除術をうけ, その後近医にて3回にわたり腸閉塞の診断で入院し, 対症療法を繰り返していたが, 今回強度の腹痛と〓吐を訴え来院し腸閉塞の診断で入院. Dennis管挿入により閉塞症状は軽快したが, 管が左中腹部に留まり進まないため小腸二重造影を施行した. その結果, 不規則な狭窄像を呈する隆起性病変が認められ, 小腸腫瘍による腸閉塞の診断にて開腹手術を施行した. Treitz's靱帯より肛門側約2mの空腸に脂肪塊で覆われた腫瘍が認められたが, 浸潤, 転移所見はなく, 腫瘍を含め約50cmの空腸を切除した. 腫瘍は10.5×6.5×3.5cm, 黄色の粘膜下腫瘍で管内一壁内一管外性, 一部環状性に発育しており, 病理組織学的診断はinfiltrating lipomaであった.
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© 一般社団法人国立医療学会
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