抄録
胎生後期の主要ヘモグロビン(Hb)である胎児性Hb(Hb F)をイオン交換高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で, 乳がん60名, 肺がん65名, 肝がん107名, その他非造血器腫瘍138名の患者について測定した. 漫性肝炎患者17名と健常者135名を対照としてHb Fを測定した.
HPLCによる測定の日差変動はCV12.1%(HbF:0.4%の試料)からCV2.5%(HbF:2.5.6%)であった. HbFが0.8%以上を占める率は根治手術前の乳がんでは5.2%であるのに対し, 進行乳がんでは31.7%に達し(p<0.005), その1例ではHb Fは全Hb Fの5.5%であった. 特定の抗がん剤投与とHb F値上昇との間には関連性を見出されなかった. 肝がん, その他非造血器悪性腫瘍, 慢性肝炎で, 血清AFP値はHb F値と相関しなかった. 進行乳がんで, Hb F値は血色素量, 赤血球数と相関しなかった.