抄録
今回我々は, 小児の孤立性骨嚢腫掻爬後, 自家骨およびハイドロキシアパタイトにて欠損部の補填を行った症例を経験した. 症例は13歳, 男児. 1990年10月14日, サッカー試合中に右大腿骨骨幹部を骨折. 単純X線上, 病的骨折と診断され, 某医にて病巣掻爬, 骨接合術を施行された. この時, 組織学的に孤立性骨嚢腫と診断された. その後, 当科外来にて経過観察中であったが, 単純X線上, 腫瘍の拡大が認められるようになったため, 1991年7月29日, 再手術を施行した. プレート抜釘後, 腫瘍組織を掻爬, そして腸骨より採取した自家骨とハイドロキシアパタイトを用い骨欠損部の補填を行った. 術後1年2ヵ月余り経過した1992年10月の単純X線にて, ハイドロキシアパタイトが良好な骨親和性を呈していることがうかがえた. さらに臨床的にも血液検査上も異常はなく, スポーツ活動を積極的に行っている.