1993 年 47 巻 7 号 p. 515-518
1972年から1990年までの19年間に, 当科で診断, 治療を行った子宮頸部初期癌(0期417例, Ia期269例)を対象とし, 治療, 予後について検討を行った. 0期417例中診断的円錐切除術が施行され, その後子宮摘出が行われた症例は328例, 円錐切除術のみで子宮を保存された症例は83例, 放射線治療が行われた症例は6例であった. Ia期では269例中8例は円錐切除術のみ, 5例は合併症などのため放射線治療が行われた. 256例に子宮摘出が行われ, 手術術式は単純性子宮全摘術109例, 準広汎性子宮全摘術139例, 広汎性子宮全摘術8例であった. 骨盤リンパ節郭清を行った症例の中ではリンパ節転移は認めなかった. 予後は0期では断端再発を1例に認めたが放射線治療により治癒し, 再発による死亡例は認めなかった. Ia期では再発は4例に認められ, 癌死したのは1例のみであった. 再発のうち3例は腟壁および腟断端再発であった.