医療
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内視鏡的静脈瘤結紮療法の臨床的検討
―食道静脈瘤硬化療法との比較―
森 哲前田 誠士志村 剛林 孝行室 豊吉原 修身
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1994 年 48 巻 9 号 p. 694-698

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抄録
内視鏡的静脈瘤結紮術(EVL)18例と食道静脈瘤硬化療法(EIS)58例を比較検討した.
EVLのうち単独例は9例, EVL後にEISを追加した例は9例であった. EIS単独例の5%ethaolamine oleate(EO)使用量が50.4mlであるのに対し, EVL後にEISを追加した場合11.5mlであった. EVLの副作用としては, 胸痛2例, 腹痛1例, 出血3例で, その内吸引が不十分でO-ringがかからず出血した例2例, スライディングチューブ挿入時の嘔吐反射によるもの1例であった. 発熱, 肝機能障害, 腎機能障害はなかった. EISとEVLを組み合わせることによりEO使用量を減らせることができた. しかし, 治療期間は短縮できなかった. EVL単独でも充分な効果が得られる例もあり, 効果不充分の場合にEISを追加すべきと思われた. EVLは副作用は軽微であったが, 治療中の出血も認められており, 充分な注意が必要と思われた.
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© 一般社団法人国立医療学会
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