医療
Online ISSN : 1884-8729
Print ISSN : 0021-1699
ISSN-L : 0021-1699
閉鎖孔ヘルニアの1治験例
―早期診断へのCT検査の有用性―
小林 直哉高倉 範尚柏原 螢爾山本 浩史村上 仁高橋 健治大海研 二郎池田 雅彦
著者情報
ジャーナル フリー

1995 年 49 巻 1 号 p. 93-96

詳細
抄録

術前診断しえた閉鎖孔ヘルニアの1例を経験し, CT検査が有用であったので報告する. 症例は81歳の女性で腹痛を主訴に当院に入院した. 腹部膨隆と蠕動不穏が著明で, 腹部単純X線検査にて小腸の拡張とガス像を認めた. 左大腿部内側に落痛を認め, Howship-Romberg徴候陽性であった. 骨盤部CTで左恥骨筋と外閉鎖筋の間に類円形腫瘤(嵌頓腸管)を認め, 左閉鎖孔ヘルニアによる腸閉塞と診断し緊急手術を施行した. 開腹したところ左閉鎖孔内に小腸が嵌頓し腸閉塞を呈していた. 嵌頓腸管を腹腔内に還納し, ヘルニア嚢を内翻切除後, 腹膜を縫合閉鎖した. 高齢者のイレウスでは本症を念頭に置き病歴の聴取, HRSの有無, CT検査を積極的に実施することが早期診断, 早期治療に重要である.

著者関連情報
© 一般社団法人国立医療学会
前の記事 次の記事
feedback
Top