医療
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肝細胞癌における癌遺伝子産物pp 60c-srcの活性増強
―癌部と非癌部の比較検討
正木 勉徳田 雅明谷口 清英藤井 正吾岡本 佐智子畑中 良夫畠瀬 修西岡 幹夫
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キーワード: 肝細胞癌
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1996 年 50 巻 11 号 p. 759-762

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抄録
Srcファミリーは現在c-src, c-yes, c-lck, c-fyn, c-hck, c-lyn, c-blk, c-fgr, c-yrkの9種類が知られている. それらは分子量55KDa~62KDaにあり, 非レセプター型のチロシンキナーゼである. c-srcに関してはそのチロシンキナーゼ活性と細胞の悪性化には密接な関係がある. しかしながらヒトの肝細胞癌におけるpp 60c-srcの関与は明らかではない. 本研究において我々は, 同一患者の肝細胞癌からの癌部と非癌部におけるpp 60c-srcのタンパクレベルと活性レベルについて解析した. pp 60c-srcのタンパクレベルは非癌部の肝硬変より癌部においてわずかに増量していた. pp 60c-srcの活性は非癌部の肝硬変より癌部において有意に高かった.
これらの結果は癌遺伝子産物pp 60c-srcがヒトの肝臓における肝細胞の悪性変化に重要な役割をなすことを示唆するものと考えられた.
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© 一般社団法人国立医療学会
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