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免疫グロブリン結合クレアチンキナーゼ(CK)によるマクロCK血症がみられた甲状腺機能低下症の1例
影山 洋斉藤 哲也
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1996 年 50 巻 12 号 p. 844-848

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抄録

高クレアチンキナーゼ(CK)血症を契機に発見された甲状腺機能低下症の患者で免疫グロブリン結合CKによるマクロCK血症がみられた患者を報告する. 症例は50歳女性, 高血圧で外来通院中約1カ月前頃より両側上肢の筋力低下の症状あり, CKを測定したところ, 異常高値で, 精査のため入院. 乾燥皮膚, 頭毛の脱落, nonpitting edema, 両側上下肢の筋力低下がみられた. CKは98. 5%がMM活性であり, 電気泳動ではextrabandがみられ, マクロCKが疑われた. 薄層ゲル濾過法で正常スポットと高分子スポットがみられ, 酵素免疫固定法では重鎖はA, 軽鎖はκとλの両者からなる免疫グロブリン結合CKであることが明らかとなった. 身体所見より甲状腺機能低下症が疑われ, 遊離T3, T4とも測定感度以下, TSHは異常高値であった. 甲状腺自己抗体, TSHレセプター抗体は陰性であった. 甲状腺ホルモンの補充療法により筋力低下は消失し, CKも正常化し, 免疫グロブリン結合CKも消失した. 甲状腺機能低下症に伴い免疫グロブリン結合CKがみられたのは本症例が2例目であり, きわめてまれであると考えられた.

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