医療
Online ISSN : 1884-8729
Print ISSN : 0021-1699
ISSN-L : 0021-1699
重症心身障害者outlet obstruction疑いのイレウス症状に用指的肛門拡張術が奏効した3症例
六田 暉朗増田 栄太郎環 正文杉本 友則三木 啓司喜多 青三久原 孝河野 登
著者情報
ジャーナル フリー

1997 年 51 巻 12 号 p. 607-610

詳細
抄録
重症心身障害児(者)の多くは慢性便秘の状態にある. そうした症例の中でoutlet obstructionが疑われ, 急性のイレウス症状をみた症例に対し用指的肛門拡張術を施行し著効のあった3症例を経験したので報告する. 症例1は47歳男性. 時々イレウス症状をきたしていたが'95年4月にS状結腸捻転となりS状結腸切除術. その後経過良好であったが'97年2月にイレウスとなった. 示指, 中指の二本を肛門に挿入し間隙を作るときわめて多量のガスと泥状便が噴出し, この処置中に腹部膨満が軽減した. そこで用指的に強く肛門拡張術(2~3秒間)を施行したところ治癒に向かった. 症例2は39歳女性, 症例3は42歳女性で, いずれも時々イレウス症状をきたしていたが'97年3月に相次いでイレウス状態になり, 症例1と同様に本法を施行し治癒した. 本症の疑いのある症例に対するこの方法は補助的検査と治療を兼ねており, 容易に行え, 又症状によって反復することもできる有用な方法と考える
著者関連情報
© 一般社団法人国立医療学会
前の記事 次の記事
feedback
Top