医療
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逆行性縦隔鏡および胸腔鏡にて肺切除および縦隔リンパ節郭清をおこなった右肺癌の1例
中野 昇貴島 弘樹山村 憲幸上田 晋也井町 恒雄
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1998 年 52 巻 11 号 p. 673-675

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抄録

小開胸併用胸腔鏡下右肺癌手術の際に, 小開胸創よりビデオ縦隔鏡を挿入して縦隔リンパ節郭清を行った. 症例は67歳, 男性. 検診で胸部写真異常影を指摘されて当科へ入院し精査の上, 右下葉の肺癌, 腺癌と診断した. 手術は腋窩小開胸創より胸腔鏡下に, 右下葉切除術を行った. 次に小開胸創よりビデオ縦隔鏡を挿入し, ツッペルと生検鉗子を使用して, #1, #3, #4, #7の縦隔リンパ節を郭清した(以下, 逆行性縦隔鏡). 残存肺を縦隔鏡で圧排しながら, 良好な郭清視野が得られ, #3, #7の郭清は容易であった. 胸腔鏡で再確認すると, #1, #4に残存リンパ節を認めたため, 胸腔鏡下操作により, 奇静脈を結紮切離して#4を, 右反回神経を確認して#1を追加郭清した.
右肺癌手術の縦隔リンパ節郭清に対して, 逆行性縦隔鏡と胸腔鏡との併用が郭清向上に有用である可能性が示唆された.

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