抄録
有機溶剤乱用と他の薬物乱用との差異の一つは, 有機溶剤乱用者の多くが若年であることである. このため, 対応において優先すべきものは社会適応性の向上となる. したがって, 精神科医療による働きかけだけでは対応は不十分であり, むしろ, 社会適応性の向上は, 家庭あるいは学校, 刑事司法機関の対応に期待される. 専門職は, 自らの機関だけでなく, 他機関の機能と限界を知らなければならない. 問題を総合的に捉え, 対応することを共通の認識として, 連携関係を整備し, 有機溶剤乱用者にかかわるべきである.