医療
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肺化膿症を合併した高齢発症1型糖尿病の1症例
佐山 孝一田所 誠司池田 弘和藤井 宏飯田 さよみ森脇 要保田 昇平野上 壽二秋山 裕由
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2001 年 55 巻 11 号 p. 565-569

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抄録
症例は63歳の男性. 55歳の時に糖尿病と診断され5年間経口血糖降下剤治療をうけていた. 平成8年よりインスリン療法が開始されたが血糖コントロール不良であった. 平成11年7月より発熱, 咳があり, 胸部X線にて右下肺野に異常陰影を指摘され, 当院に紹介された. CRP, WBCの上昇, 胸部CTにて右S10に空洞をともなう直径5~8cmの腫瘤が見られたが, 気管支鏡検査および肺生検にて炎症所見のみ認めたために, 肺化膿症と診断された. 肺化膿症の治癒後の検査では. 尿中CPR 2.7μg/日, 空腹時および食後2時間血清CPRはともに0.3ng/ml, グルカゴン負荷試験無反応であり, インスリンの基礎および追加分泌は著しい低下を認めた. 抗GAD抗体は3980U/mlと著名高値, 抗膵ラ氏島抗体陽性であった. HLAタイピングでは, 膵β細胞破壊に関連するHLA-A-24を認め, 高齢発症の自己免疫性1型糖尿病と診断し, 強化インスリン療法にて血糖コントロールを行った.
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© 一般社団法人国立医療学会
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