抄録
一次性肺高血圧症(原発性肺高血圧症)と二次性肺高血圧症という分類は, 基本的には高血圧症と同じように考えてよい. 二次性肺高血圧症の多くは, 外的刺激によって内皮細胞が障害をうけ, 種々の応答を繰り返して肺血管remodelingが進展するため, 肺高血圧が発症し持続する. その結果, 肺血管インピーダンスの増加をきたし, 右心負荷から右心肥大・右心不全という一連の病態を引き起こす. COPDの肺血管インピーダンスの解析から, 肺動脈圧の上昇とともに, 比較的太い肺動脈も硬くなり, 全体の肺血管の進展性が低下していることが示された.
1996年には, プロスタサイクリンの臨床効果が確立された. 肺動脈圧を下げ, 心拍出量をあげ, 体酸素供給を増やし, 肺血管remodelingを改善する. NOは, 特異的に肺血管床のみに作用して, 肺動脈圧を下げる急性効果はあるが, 慢性効果にっいては投与法も含め検討されている.