医療
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家族介護者の介護負担
荒井 由美子
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2002 年 56 巻 10 号 p. 601-605

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抄録

介護負担の研究において最も重要な問題は, 「介護負担をいかに客観的に測定するか」ということである. 米国の心理学者Zaritは, 1980年に介護負担尺度を作成し, 本尺度は英語圏の多くの研究で用いられている. 我が国において介護負担に関する客観的な指標が存在しなかったため, 荒井らはZarit介護負担尺度日本語版を作成した. 筆者らによるこれまでの研究で, 痴呆患者の介護者にとって, 介護負担増悪の最大のリスクファクターは, 痴呆の重症度や日常生活動作能力ではなく, 問題行動の程度であることが明らかになった. また, 介護保険制度導入の前後で, サービス利用量が増えたものの, 介護負担に関しては, 有意な変化はみられなかった. これは制度導入による自己負担金の増加や煩雑な手続きなどを, 介護者がネガティブに捉えた可能性も否定できず, 今後とも継続的な検討が必要であろう.

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