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クロイツフェルト・ヤコブ病看護の現状と問題点
-国立病院へのアンケート調査結果から-
森由 美子水野 初江佐藤 佳代吉野 英湯浅 龍彦
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2002 年 56 巻 11 号 p. 671-676

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抄録

今回, クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)の看護の現状を明らかにし, 問題点を整理することを目的に, 政策医療神経筋ネットワーク関連施設37施設40看護単位にアンケート調査を実施した. 回収率は95%であった. その結果, 現状では多くの施設で専用の個室による対応を行っており(60%), 入浴では清拭のみ行っている施設が37%に達し, 洗髪, 足浴・手浴, 口腔ケアなどの日常の看護の面でも多くの改喜すべき点が認められた. また, 鼻腔栄養ではディスポ使用施設が44%, 消毒物品(包帯交換時)は, すべてディスポを使用が52%, 7%の施設ではディスポタオルを使用していた. これらは感染対策という理由からそうされていたのであるが, コストの問題を生じている.
環境対策としては, 病室内に専用ゴミ袋かゴミ箱を設置し, 吸引物は, 消毒した後に汚物として流す(56%), 摘便, 尿, 痰については, 肉眼的に血液混入がみとめられなくても, 85%の施設が感染性廃棄物と考えて対処していた.
看護者に対する感染防護面で, ガウンについては, 汚物や感染源に触れる時のみ着用するが48%であり, 室内入室時は必ず着用するが37%であった.
そして, CJDの看護面で今後の重要な課題として感染対策マニュアルや看護マニュアルの整備が望まれていた. この点に関しては今回クロイツフェルト・ヤコブ病診療マニュアル(改訂版)が出版されずいぶんと改善された.

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© 一般社団法人国立医療学会
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