2002 年 56 巻 5 号 p. 260-265
人工呼吸実施者が増加している筋ジストロフィー医療において, その安全管理は非常に重要な問題である. 筋ジストロフィーの場合, 原則として人工呼吸は集中治療室以外で実施されており, その管理には独自の方法が必要であろう. 徳島病院では次のような試みを行ってきた. 関連職員の教育は1994年から始め, 現在も月一回行っている. 人工呼吸器のアワーメータの管理は1997年から開始したが, 現在は臨床工学技師が引き継いでいる. 1995年, 全病棟が参加して停電シミュレーションを行いその問題点を浮き彫りにした. 1999年, 病院全体が参加する形の人工呼吸器管理委員会が開設された. 2001年, 臨床工学技師が配置されると共にME室が開設された. 以後インシデントレポートの管理等, 当院の人工呼吸管理の中心的役割を果たしている. 以上のような取り組みを通じて様々な問題点があると判明したが, 一番の問題は医師の無関心である。