医療
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国立療養所4施設における1994年および1999年入院時結核菌薬剤感受性結果の比較
米丸 亮佐々木 結花斉藤 武文倉島 篤行山岸 文雄川城 丈夫
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2003 年 57 巻 10 号 p. 606-609

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抄録
1次抗結核薬4剤に対する結核菌の薬剤耐性を検討する目的で, 参加した国立療養所4施設の1994年と1999年における薬剤感受性結果を集計した. 初回治療患者での1994年と1999年の薬剤耐性率はそれぞれ, INHで1.2%, 2.0%, RFPで0.21%, 1.3%, SMで3.9%, 3.9%, EBで0.41%, 0.34%であり, 多剤耐性結核(MDR)は0%, 0.50%であった. 再治療患者での1994年と1999年の薬剤耐性率がそれぞれ, INHで22.4%, 16.7%, RFPで24.0%, 13.9%, SMで16.4%, 6.9%, EBで11.9%, 56%でありMDRは14.9%, 5.6%であった. RFP耐性率, MDR率には注意が必要であるが, 初回治療患者の1994年と1999年における耐性率では有意な増加を認あなかった. 再治療例における耐性率は有意差はなかったが1994年より1999年で低値であった. これらより, 結核標準治療として広く用いられている多剤併用療法は, 結核菌薬剤耐性を誘導しにくいことが示唆される.
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© 一般社団法人国立医療学会
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