医療
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シンポジウム:クリティカルパスの現状と今後の課題
吉田 晃治奥野 初子
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2003 年 57 巻 3 号 p. 191-207

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抄録
近年クリティカルパス(CP)は全国の病院で広く実施されている. CP導入による大きなメリットは, 医療手順をタイムスケジュール化することで, 医師のみでなく医療従事者全員が医療内容を把握でき, それぞれが計画的に協力し合って行動でき, 業務の効率化を図り, 機能分担による専門性の向上, 職種を越えた適切なチーム医療が実行できることである. さらに医療全般の質の向上・均質化, 在院日数の短縮, 医療資源の有効利用, 業務の改善, 患者・家族への情報提供と満足度向上, 在宅支援システムへの継続医療外来での処置・治療などを積極的に取り入れて行くためのツールとして有用である. シンポジウムは, (1)医療制度改革とクリティカルパス(武藤氏), (2)病院・療養所におけるCPの取組と厚生労働省より見た今後の取組, 方向性について(木村氏), (3)クリティカルパス作成・活用における問題点と対策(大西氏), (4)DRG/PPS試行病院におけるクリニカルパスの活用効果(飯田氏), (5)急性期特定病院におけるクリティカルパスの問題点と対策(野村氏), 指定発言:急性期特定病院、デイサージャリーに向けた外来治療へのパス活用について(向原氏), 指定発言:当院の概況とクリティカルパス導入に向けての整備(小原氏), 特別発言:クリニカルパスに学んだこと―暗黙知の明示化―(森脇氏)を発表いただき, CPの今後の方向性, 問題点の改善などに役立てばと考えている. さらに今後急激に変化するであろう日本の保険医療制度の改革のために, 世界に誇る日本の保険制度, 医療提供体制を取り入れたものを国立病院の政策医療ネットワークを活用し, 疾患毎の標準的医療手順(クリティカルパス)が作成できれば幸いである.
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© 一般社団法人国立医療学会
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