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慢性神経・筋疾患におけるPEGの安全性と合併症に関する検討
野崎 園子安東 範明小牟 禮修齋藤 由扶子舟川 格
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2005 年 59 巻 2 号 p. 89-94

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抄録

慢性期神経・筋疾患55症例における経皮的内視鏡的胃瘻に関する合併症を分析し, その対策を検討した. 合併症の内容としては, 1) 呼吸不全: 鎮静剤による術中の呼吸抑制, 2) 手技上のトラブル, a) 造設時の胃内出血, 肝臓穿刺, 横行結腸貫通, b) バンパー埋没による胃穿孔, 初回交換時の腹腔への誤挿入, バンパーの抜去の困難や胃内への落下, 十二指腸への嵌頓, バンパー除去時の胃粘膜動脈の出血, 3) 自己抜去: 認知障害患者, 4) 感染: 全身感染症や腹膜炎, 抗生剤による偽膜性大腸炎, 5) 消化器症状: 胃食道逆流, 胃潰瘍, 下痢, 6) 腹壁のトラブル: 腹壁の壊死や潰瘍, などであった. リスク管理として, 鎮静剤拮抗薬の速やかな使用とALSの早期PEG造設, 術前の臓器位置確認検査, 初回交換時の内視鏡による確認, 自己抜去リスク患者への予防処置, 感染症症状の自覚に乏しい点への注意, 注入速度の調節, 胃瘻部の保護, 注入前の胃のガス抜きなどが重要と思われた.

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