医療
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ALSのQOL向上のための緩和ケアに向けて
中島 孝
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2005 年 59 巻 7 号 p. 370-375

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抄録

ALSなどの神経難病のアウトカム評価としてQOLは重要だが, 評価する方法はまだ確立していない. そのなかで, SEIQoL-DWはQOLドメインを病気の進行とともに動的に変えることができるため今後期待されうる患者個人のQOL評価方法である. QOLとは病態と関係性の下で動的に変化する患者の価値観の産物であり, 難病ケアでは根治療法が不可能なため, その向上が目標とされている. 多専門職種ケア(multidisciplinary care)とNarrative based medicineの導入が有用である. 緩和ケアは根治療法のない患者の自律と生命を支えるケアであり, 功利主義的価値観ではなく, 生命の尊厳(Sanctity of life, SOL)にもとづくものであり, QOL向上が目標である. 緩和ケアは消極的安楽死ではなく, 難病患者の生きる意味の崩壊をくいとめ, 尊厳死意識の解消をめざすものである.

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