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進行性核上性麻痺の治療up-to-date2005
松尾 秀徳
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2005 年 59 巻 9 号 p. 506-512

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抄録

剖検脳を用いた神経薬理学的研究や, 画像診断法の発達により, 進行性核上性麻痺(PSP)の脳に生じている神経化学的な変化についての知見が少しずつ明らかにされつつある. 他方, PSPの治療に関しては相変わらず経験的域を出ていないのが現状であって, 具体的成果に乏しい. しかし, PSPの脳における生化学変化の最新知見に沿って新たな治療法の開発への試みがなされようとしている. PSPの治療といえば, 従来より, パーキンソン病類似の臨床症状に対してドーパミン作動系の薬剤が用いられることが多かった. 一方, 近年では, PSPの神経化学的変化やアルツハイマー病とも共通する前頭葉機能の障害に着目して, コリン作動系の薬剤が検討されている. しかし, これまでのところ, cholinesterase阻害剤(physostigmine, donepezil)を用いた臨床試験では有効性は証明されていない. 現在, ムスカリン性アセチルコリン受容体やニコチン性アセチルコリン受容体を刺激する薬剤や, コリン作動性神経核である脚橋核を刺激する方法などが検討段階に入っている.

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