医療
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神経疾患患者の転倒・転落防止対策
羽賀 真琴村井 敦子上田 一乃勇田 絵里子饗場 郁子齋藤 由扶子松岡 幸彦
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キーワード: 転倒・転落防止対策
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2006 年 60 巻 1 号 p. 50-53

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抄録

平成16年度, 神経疾患の入院をおもに扱う厚生労働省精神・神経委託研究費「政策医療神経総合湯浅班」に属する施設の転倒グループによって, 神経疾患入院患者の転倒・転落(以下転倒と略す)調査を実施した. その結果, 入院中の生活の場である病室での転倒が多いこと, および排泄に関連した行動で転倒をおこしていることが多いことが明らかになった. 認知症・精神症状・意識障害のある患者では, 予測不能な行動ののちの転倒もあり, 転倒防止に加え受傷予防が必要である. 転倒事例を分析し患者が安全に過ごすために, 防止対策を検討, (1)-(13)の結果を得た. (1)ベッド周囲の環境整備を行う. (2)排泄・生活パターンの把握をする. (3)ナースコールの指導は, 毎回念入りに行う. (4)移動は観察下で行う. (5)杖や車椅子の適切な移動手段を指導する. (6)入浴時は安全ベルトを着用する. 認知症・精神症状・意識障害のある患者は上記に加えさらに(7)-(13)の対策を講じる. (7)頻回な観察ができる部屋を考慮する. (8)離床センサー・センサーマットを使用する. (9)体幹ベルトを使用する. (10)車椅子乗車時は安全ベルトを着用する. (11)ベッド柵は固定する. (12)排泄時は付き添う. (13)保護帽・セラピーマットを活用する. これらの対策はすべて施行するのではなく, 1人1人に合わせ, 必要な対策を選択して行うことが重要である.

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