抄録
神経難病患者は病気の進行にともなって日常生活動作が低下し, 多くは介護に人手を要するようになる. そのため, 病状の安定している入院患者とその家族に対して在宅ち療養を提案しても, それを躊躇してしまうケースが多い. しかし, 在宅療養の現場では重度障害の神経難病患者を在宅で介護している症例が多数あるのも事実である. そこで, 在宅療養を勧めていくにあたり私たち自身が難病患者とその家族の生活の実態を把握する必要があると考え, 入院から在宅療養に移行した患者とその介護者を対象にアンケート調査した.
結果, 実際に在宅療養するまでは不安な介護者がほとんどであるが, 患者が喜ぶ姿を原動力にして在宅療養を継続している介護者が多かった. 一方, 気管切開または胃瘻造設している患者は, デイケアサービスやショートステイに受け入れてもらえないという問題点が明らかとなった. 介護負担が大きいにもかかわらずサービスの利用制限があり, 介護者は介護から解放されストレスを軽減する機会がない. したがって, 長期にわたる介護が必要な神経難病患者介護者の負担を軽減し支援するためには, 介護保険のみに頼るのではなく, レスパイト入院を取り入れ, 問題発生時には緊急入院できる体制を整える必要がある.