医療
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誤嚥防止術
後藤 理恵子
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2007 年 61 巻 2 号 p. 122-127

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抄録
誤嚥防止術はその名のとおり誤嚥を完全に防止するための手術である. 神経疾患では進行とともに嚥下障害・構音障害を生じ, 原疾患ではなく嚥下性肺炎のために生命を脅かされることも多い. 保存的アプローチや嚥下機能改善手術では対処できない高度な誤嚥を呈する場合には, 誤嚥防止術により肺炎や気道感染症の発症リスクを減らすことが可能で, さらに喀疾吸引回数の減少, 気管切開孔部の管理のしやすさなどQOLの向上に非常に有効である. しかし一方で声を失う(犠牲にする)という代償をしいられる点, あくまで誤嚥防止目的の手術であるため, 術後経口摂取が必ずしも可能になるとは限らない点には注意が必要である. 数年前に比べて誤嚥防止術の認知度は徐々にましてきてはいるが, まだまだ限られた医療者間での認識にすぎない. 今後さらなる啓蒙をしていく必要がある. 誤嚥防止術の概要理解のために, 手術の適応や周術期の状態, 欠点・利点などについて解説した.
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© 一般社団法人国立医療学会
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