抄録
ホールの最小単位と捉えたN-フェニル基のみからなる一連のアリールアミン誘導体を合成し,それらの化学構造と樹脂分散系におけるキャリア輸送能との関係について検討した。その結果,先に提出した高キャリア輸送有機材料開発のための分子設計指針(電子写真, 25, 16(1985))を確認するとともに新しく感応基(N-フェニル基)の置換位置に関して興味ある結果を得,分子軌道計算に基づいて多感応性,分子内移動性に対する具体的な概念を示した。さらに一連の化合物の中で,比較的簡単な構造で高移動度を示す新規アリールアミン誘導体(N, N, N', N'-tetrakis (3-methylphenyl)-m-phenylenediamine (m-PDA))を見い出した。