1993 年 32 巻 3 号 p. 236-241
本研究では,飛躍的な高密度記録が実現できる画像記録システムとして高出力半導体レーザを記録熱源とする溶融型レーザ熱転写記録を検討している.レーザ熱転写では,数μmまでに集光された光スポットを用いたレーザ加熱によって熱転写インク層を融転写させるため超高密度記録の実現が期待できる.
本報では,レーザ熱転写のカラー記録への対応について実験的に検討した.レーザ加熱によってカラー記録を行うためにカラー溶融転写層にレーザ光の吸収と熱変換を行う光熱変換層を付加した2層型カラーインクリボンを試作し,転写特性を実験的に評価した.レーザ光吸収層を薄膜(0.7 μm)化して試作した試料により最小転写線幅10 μm,解像度2540 dpiの高精細記録が可能であることを確認した.また,記録エネルギーは,記録開始時を除いてモノクロ記録とほぼ同等であり,線像転写時の記録開始エネルギー0.83J/cm2を得た.1 mm2標準サンプルによる印字転写評価も行い良好な転写を確認した.