抄録
昇華性染料を用いた電子スチルカメラ用ハードコピー装置の試作につき, 主に連続階調表現の観点から実験, 解析した結果を述べた.安定な連続階調印画には, 感熱ヘッドの入力電力, 基板温度, 印写ドラムとの位置, 押圧が重要なパラメータであることを明らかにし, これらと印写濃度との関係を実験, 解析により定式化した.試作装置の印画画質は, 色の再現性, 階調特性 (各色64階調) 共にモニタテレビ画面にほぼ対応したものであった.一方, 印画サイズを手札判相当 (80×98mm) とし, 分解能を6本/mmとしたので, 明視距離では走査線構造も目立たず, 解像感のあるハードコピーが得られた.カラー化は黄, マゼンタ, シアン3色面順次方式で行い, 絵素数は各色480 (V) ×512 (H) とした.プリント所要時間は約1分である.