テレビジョン学会誌
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MUSE方式高品位テレビ信号の周波数解析
中川 一三夫
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1986 年 40 巻 11 号 p. 1126-1132

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抄録

高品位テレビ (ハイビジョン) を衛星放送1チャンネル分で伝送するため, MUSE (Multiple Sub-Nyquist Sampling Encoding) と呼ばれる伝送方式が提案されている.この方式はドットインタレースを基本とした高度の帯域圧縮方式である.このため, 伝送路ひずみは従来のテレビ方式と異なる影響を与える.また, 受信側の再標本化位相も再生波形に影響を与えるという新しいひずみ要因が加わる.ここでは, 上記影響が最も大きいと思われる縦縞パターンについて, 伝送路の線形ひずみ, 再標本化位相誤差を考慮したモデルをつくり, その周波数解析を行った.その結果, 線形ひずみ, 再標本化位相誤差が復元波形に与えるひずみを周波数領域で示す理論式を求めることができた.また, この理論式から線形ひずみと再標本化位相誤差はそれぞれ独立して, 非常に単純な形で復元波形にひずみを与えることを明らかにした.この結果は他のオフセットサンプリングの場合にも利用でき, 汎用性が高い.

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