抄録
画像から受ける各種心理効果を生体信号によって客観的に評価する研究を進めている.その中でも最も情報量の多い客観指標である視線の動きに注目し, テレビ画像の見方について分析を行った.この論文では, このために開発した注視点情報分析装置 (Vision Analyser) を紹介するとともに, これを用いて行った実験結果を示す.まずステレオ音像によって視線が誘導され注視点分布が広がること, また, ハイビジョンの見方の分析では, ハイビジョンの “きめ細かでワイドな映像” の効果が実際の視線の動きにも充分反映され, 大きな画面を広く見るために視線は画面全体を大きく速く動く一方で, 興味のあると思われる部分については低速で細かく動くことがわかった.このようなハイビジョンの見方の特徴について分析を行った結果から, ハイビジョンでは “生” で見たときの視線の動きに一歩近づくことなどが明らかとなった.